2015年12月25日 (金)

はじめに、注意事項

はじめに


著作権

 当日本語訳文に掲載されている情報(テキスト、図版、写真)の著作権は、それぞれの著作権者にあります。これらの情報は、日本の著作権法、国際条約および他国 の著作権法に保護されているので、私的利用の範囲を超えて利用する事はできません。
 なお、本日本語訳文のすべてと映像のいくつかは、訳者に著作権があり、その他の画像等は表示された権利者に、それぞれ著作権があります。これら権利者の許可なく、また方法の如何を問わず第三者の利用に供すること、また複写、映写等はできません。ただし、個人的な閲覧および著作権者の表示と出典の表示をともなう学術的な引用等はこのかぎりではありません。
 しかし、以下の「注意事項」に表示した理由により、学術的な利用は引用者の責任において、出版から時間が経って既に確立された白井 秀和氏の訳文や、引用者自身が直接原典にあたって、個人的に訳した文を使用するべきです。


注意事項

 本文の訳文は、 THREE REVOLUTIONARY ARCHITECTS,
  Boullée , Ledoux and Lequeu  by Emil Kaufmann 1952 (詳細は後記)
(以下「Three‥‥‥」と言う)の本文部分のみを全て訳出したもので、学術用途に引用等の形で利用する事はできません。
 理由は、「Three‥‥‥」の原注や前置き等の訳出を欠いていて、学術的には不完全であること、そして文末に記すように学術的に定着した訳語を使っていないという理由からです。
 したがって、「Three‥‥‥」を研究してみようと考えられる方は、まず中央公論美術出版社刊 白井秀和訳「三人の革命的建築家 ブレ、ルドゥー、ルクー」を参照される事を推奨します。
 しかし白井訳は、日本語としては奇妙な箇所が多々あって読みにくいものになっており、この事と書籍の値段が異常に高かった事もあって、日本においてカウフマンの著作の批判的読み取りを妨げる事に繋がっていると考えられる出版物です。しかしこの事実は白井秀和氏によるカウフマンの「Three‥‥‥」全訳という、偉大な業績をいささかも傷付けるものではない事は言うまでもありません。

訳出に使った底本、および既刊の訳本と他の媒体の参照本

 本訳に使用した底本は、英語版の
Emil Kaufmann  THREE REVOLUTIONARY ARCHITECTS,  
           Boullée , Ledoux and Lequeu                      TRANSACTIONS OF THE AMERICAN PHILOSOPHICAL SOCIETY  HELD AT PHILADELPHIA FOR PROMOTING USEFUL KNOWLEDGE
NEW SERIES --- VOLEME  42、PART 3   1952
COPYRIGHT 1952 BY THE AMERICAN PHILOSOPHICAL SOCIETY

の中の該当箇所です。後述の理由により、翻訳の底本としたものは東京大学工学部図書館所蔵の紙メディアのものです。
 日本語全訳本としては、中央公論美術出版社刊 白井 秀和訳「三人の革命的建築家 ブレ、ルドゥー、ルクー」平成6年(1994年)(以下1994年版を白井訳本という)がありますが、現時点(2015年)で、ほとんど入手不可能になっています。比較的大きな図書館でなければ目にする事はできないと思われます。
 他の国語に翻訳されたものとしては、白井訳本の「訳者あとがき」によると、1976年にイタリア語版が、1978年にフランス語版が出版されて、原語(英語)版と1994年の白井訳本を加えて四カ国語で出版されていると報告されています。しかし、白井訳本が出版される14年前の1980年には、スペイン語版が出版されているので、都合五カ国語で出版されていた、とするのが正しいことになります。日本における「Three‥‥‥」の翻訳の歴史は白井訳本の訳者あとがきに詳しいので、そちらを参照してください。

 以上五カ国の訳本のすべては2015年時点で、入手はかなり困難な状況になっています。但しイタリア語版は、初版が発行されて以来2015年時点で7版が重ねられ、毎年刷られているのでときおり書店で見かけられる事があります。

 なお、フランス、イタリア、スペインの三か国版には、巻頭論文が二編加えられていて、仏、西は二編、伊版にはその内の一編が併載されています。伊版は、訳者がイタリアの大学に在学中に、伊語版に併載された論文の著者ジョルジョ・ティソット教授(フランス人教授 Georges Teyssot:ジョルジュ・ティソ)のインフォメーションで読んだ経験があり、下記のように原典の翻訳中に伊語版も参照しました。
 ジョルジョ・ティソット教授の講義は、もの柔らかな中に、氏にとっては外国語になるイタリア語で、語学の学習者が必ず習うべき定型構文の中に修辞的に、韻を踏むように話されて、それがために理解し易かった強い記憶があります。新古典主義建築が韻文的、定型文的建築言語を離脱して、散文的建築言語を獲得する過程を詳述する講義が、学生であった訳者にとっては韻文的、定型文的な話し方であるが故に理解しやすかったという、稀な経験をしました。

 ところで、現時点でカウフマンの英文原書(紙メディア版)を閲覧する方法ですが、まず、図書館等の蔵書(大きな図書館や大学図書館、中央図書館等に限られるようだが)から検索する事になるでしょう。Amazon から一般の出版社が発行したものが購入可能なことがあります。
 また英語版(デジタル版)の入手法ですが、インターネット経由で、日本国外の図書館で公開しているPDF版を閲覧 / ダウンロードによる方法が可能です。しかし、訳者の経験ではPDF版は、(かなり頻度が高いという意味で)複数箇所で意味内容にかかわる、行や部分の脱落が見られます。また本訳で底本とした東京大学工学部図書館所蔵本(紙メディア本)にも、校正漏れやミススペル以外の部分で、一部で冠詞が脱落している箇所があり、意味を取る上では問題はないものの、この箇所がPDF版では正しく表示されているという、理解しがたい齟齬も存在しています。
 「Three‥‥‥」は1952年にAMERICAN PHILOSOPHICAL SOCIETY から出版されて、翌年カウフマンは急死しているので直接著者による改訂版が存在していないことを考えると、不可思議としかいえない状況です。ただし、一般の出版社から単行本として発行された英語版などについては、このかぎりではないと思われます。

 以上の理由から、「Three‥‥‥」の学術的な利用につては、白井訳本や英語の原典を突き合わせて、個人の責任で利用する事が重要と考えます。

 訳出作業にあたっては底本としてすでに記した1952年の英語版を、それに随時イタリア語版の1979年第二版と2014年第七版を参照しました。文章中、指示代名詞がなにをさすのか判断に迷う事があり、またそれがカウフマンの文のニュアンスである事を考えましたが、それらを極力名詞/固有名詞に置き換えて訳出しました。また白井訳本における重要な誤訳部分は、白井訳本を参照するときや原典に当たる時、正確さを維持するために、訳注として該当本文箇所に置いてあります。

図版についての注意点、バリエールの名称や別称の一覧表

 底本の図版のうち、集合図版(fig.113、fig.120、fig.129の場合)で見にくいものを、個々の単独図版に分解したものがあります。例えば (fig.113) の集合図版中最上段左端を「a」として右へ、そして順次下の段へアルファベット順で((fig.113-a)) 、((fig.113-b))、、、、 と単独図版を拡大した別図で表示しています。
 ルドーのバリエールは、時期によって名称が変遷していて、文中でも理解しづらい表現になっているので,あくまでも参考に供するためですが、名称や別称を一覧表にして巻末に添えてあります。カウフマンの「Three‥‥‥」では、Saint-Victorが作成した集合図版にもとづいた事がプロトコールされているので、訳者作成の一覧表とは、異なる部分があります。食い違いについては本訳文中に(訳注:)で随時表示しています。

 特定の建物や作品に言及しながら本文中に図版を欠くものについては、ダニエル・ラメ版(1847)所蔵の図版を参照するよう原注で表示されている場合 C. N. LEDOVX  L’ARCHITECTVRE    EDITION RAMEE 1983 Princeton Architectural Press から該当の図版をとり (pl- ◯ ◯) と表示します。

 なお( fig. ◯ ◯ - アルファベット -bis2)で表示の写真は訳者の撮影したものです。

 最後に、最も重要な事ですが、白井訳版において「語る‥‥‥」、「語る建築」、「語りかける建築」などと訳された部分について、本翻訳では、訳注や注記無しで「散文的‥‥‥」、「散文的建築」と訳してあるので、いろいろな意味で注意が必要です。これが「Three‥‥‥」の批判的再訳出に踏み出す、重要なきっかけだったからです。          
菊池 アンドレア   2015年9月








            トレンティーニ・キャンパスの陽溜まりの
           片隅の小さなモニュメントのM・Tに

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