トップページ | 2007年2月 »

2007年1月29日 (月)

ちはら台の二世帯住宅:なぜエントランスデッキが有るのか

andrea記

 「完成した家」の19番目にリストアップされている「ちはら台の二世帯住宅」
 ホームページの表紙の住宅(写真アルバム)は、エントランス部分が、アメリカのバンガロー住宅のように広い木製のデッキになっています。
来訪者は敷地内のアプローチを歩いて,「建物の内部空間」の木製デッキに上がります。
 デッキを数メートル歩くと、親世帯と子世帯の玄関ドアが並んでいて、子世帯は社会的に現役である事を象徴するように玄関部分が半透明のガラスブロックで仕切られ、内外の空間がユルやかな関係を維持しています。
 一方、親世帯はリタイアした世代として、木製デッキ側からのアプローチを比較的強い調子で拒否しています。外部と内部をつなぐ玄関ドアの採光窓はとても小さくて、防犯的にも有効なように見えます。

 そこまで書くと、リタイア世代の社会的な積極的関与が言われているのに、なぜ社会との接点の玄関ドアを「強い拒否」を感じるデザインにしたのか、疑問を感せられたのではないでしょうか。

 実は、木製デッキを介して玄関へ導く仕方が来訪者にある種社会的な身構えを要求するしつらえである事、またこのしつらえが親世帯で強い社会的な身構えのポテンシャルを要求するデザインは、意識的に行われたものなのです。
 つまり、親世帯への来訪者が近所の気心の合った知人の場合は、自然に玄関ドアへ向かわずに枝折戸を明けて庭に面したリビングの縁側に向かわせる、親しさによる選択を無意識に行ってもらう、という事を意図したものなのです。
 当然、無用のセールスマンは,枝折戸を明けたら不法侵入と騒がれそうに思って親世帯の玄関ドアに向かいますが、木製デッキが建物の内部空間に取り込まれているので,玄関ドアに行き着くのには非常な努力が居る結果になるはずです。平易に言うと、お茶飲み話に寄るのには、それなりのしつらえが欲しいけれど,防犯性も両立させた、と言えると思います。

 道路から玄関ドアまでの小さな道のりは、住宅の作りかたいかんでセキュアなものにもシンパセティックなものにもなる例です。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

トップページ | 2007年2月 »